ここでいうクラブっていうのは、
あの夜の街でキラキラした男女が「なんか踊りたくなっちゃった~」って言い訳みたいに赴いて、その実交尾する相手を見つけに行く場所のことなのですが
ていうかそのクラブ以外に別のクラブの存在を知らないのですが、
こんな風にクラブの悪口を言いつつも、密かにそう言った社交場で遊べる人たちのことを羨ましいな、と思っていた時代もあったのです。
この話をするには少々話を遡らなくてはなりません
あれは4年前のことでした
六本木のクラブに遊びに行くことになった
社会人3年目の夏―――――――――
当時僕は新卒で入ったSEを辞めて法人営業の仕事をしていました。
当時まだ僕は女の子とろくに交際経験がありませんでしたが、
(厳密にいえば付き合ってニューハーフと付き合って2時間で別れたり、2週間で別れたりすることはありましたがそれはいずれお話しすることがあるかもしれません。ないかもしれません)
当時はまだ「僕は女の子に陰ながら噂になっているくらいに人気だ。みんなシャイだから僕に話しかけてこないんだ」と信じて疑ってませんでした。
もう自分以外の世界中がシャイだと思っていました。マイケルジャクソン並みにいずれ人気になるだろうと思っていました。
ですが今思えばあれは紛れもなく「モテてない」という現象で、
きっとそういった現実はみんな高校生や大学生で受け入れ認知していくものですが、「僕はモテてない生き物だ」という現実がストレス過ぎて前頭葉だとか大脳皮質が焼き切れていたのではないかと分析しています。
そしてSEを辞めた後、気づけば「女の子と自然に話せるようにしたい」という思いから、自然な会話力を身に着けるために法人営業に転身していたのです。
さて、法人営業時代は過酷でした
SE時代は毎日起こられてばっかりでそれはそれで過酷でしたが、法人営業の仕事はコミュ障には大変でした
毎日100件近くのテレアポをしました。月に20件近くの商談もこなしました。
そんな中で自分の会話力がメキメキ上達するような気がして、それだけを頼りにひたすら走っていたのです。
ちなみに途中、ある社長から「きみ絶対に営業マン向いてないよww」とか言われましたが、
「うるせぇ」
と思っていました。
あと同僚の女の子と2人きりで話すときに、「どうやったら親しい関係を築けるか」と考え抜いた挙句、
「おまえ、ジャンクフードみたいな匂いするな」
と暴言を吐いたこともありました。
「なにそれw面白いねw好きw」みたいな反応を期待しましたが、実際はその正反対の結果になったとだけお伝えします。
そんなこんなで入社してから9か月が過ぎたころ、同僚にクラブに誘われたのです。
僕は
「とうとう営業で培ってきたトークを活かす場が来たか…」
と張り切りまくりでした。
物やサービスを売りたいから、ではなく女の子と話せるようになりたいから営業になった経緯があったので、クラブこそが本番でした。
毎日のテレアポも商談もあくまで筋トレみたいなもので、本業はコッチでした。
もはや「お父さん…お母さん…とうとう孫を見せられるよ…」とすら思っていました。
そうして門のガードマンみたいな人に手首にスタンプを押してもらい、ズンズンと中へ突き進んでいったのですが
中へ入ってから1時間後…
結論から申し上げますと、こんな感じになっていました
中に入ってもオレンジジュースを飲み続け、
誰一人にも声をかけられず、戦いは始まらないまま僕のソウルジェムは真っ黒になって魔女になる寸前でした。
いつも心の中でバカにしていたジャンクフード女子は、みんなから見えるステージの上で黒人男性とお尻フリフリして連絡先を交換していました。
途中で目が合ったのでステージに上がるように促されましたが、ひたすら他人のふりをしてやり過ごしました。
あんな空気でステージに上がったらマイケルジャクソンじゃなくて、マイケル寂聴になってしまいます。マイケル寂聴って何だって感じですが
その後、今にも泣きそうな顔をした僕を見て、周りの同僚たちも気を遣ってクラブから出ることになったのですがとうとう信号機の前で声を上げて泣いてしまいました。
深夜の2時でした
泣き止むまで待ってもらい、その後入店したすしざんまいで同僚たちは僕に寿司をおごってくれたのを覚えています
僕はどこで間違ったのだろうか…
そもそも営業が向いていなかったのだろうか…
先の社長から言われたセリフが頭をよぎります
冷静になって考えたら法人営業をやって9か月、未だに受注は0でした
えっ、ていうか9か月も受注してないんだし営業向いてないんじゃね?
ってとうとう気づいてしまいました
いままで自分の営業力がメキメキ上がってるような感覚を覚えていましたが、気のせいだったようです
今思えば自分は思い込みの激しい人間だったようです
あれから営業はもうやっていません
ちなみにこのジャンクフード女子とはこの号泣事件をきっかけにとても仲良くなりました
人と仲良くなるには「言葉」ではなく「ハート」だと教訓を得たのです